質的メディア分析のあるひとつの手法~No.01
昨今、個人でも情報が発信できるようになりました。
もはや、マスメディアという存在自体がどれほどまでの意義をもつか疑わしいものとなってきています。
そこで、こうした様々なメディアが洗練された情報提供を求めるためにメディア分析のひとつの手法をご紹介します。
手順を追って説明しますので、皆様も一緒に分析してみてください。
百聞は一見にしかず!
やってみましょう!
過去、とある番組での有名な占い師言動を分析します。
目的は、公共の電波を用いて、悪意に満ちた言動を繰り返されます。
見ているほうもなんだか言葉の暴力にさらされ、脱力されます。
このような状況で人は難しいことを考えなくなり、
そして、その意見に同調するようになります。
非常に危険です!
このような言動に惑わされず、自ら生きる道むための思考方法を提供させていただきます。
日本人の常識を教えます(素敵な大人の常識スクール)
「ティータイムのマナー」
問い1 リビングでは何処に座るのが良いか
K子: 彼女は最低です。どこまでバカが続くかって。
この子はバカ攻撃で毎週使ったらいいわ。
だいたい女がね、ソファーの割れ目に座って武将のようにどかっとやるんだって、そんな小生意気な女達はねお茶になんか絶対、お友達がまず出来ませんよ。
論外ですよ!
1.文章を分解してみます。
(1)彼女は最低です。
(2)どこまでバカが続くかって。
(3)この子はバカ攻撃で毎週使ったらいいわ。
(4)だいたい女がね、ソファーの割れ目に座って武将のようにどかっとやるんだって、
(5)そんな小生意気な女達はねお茶になんか絶対、お友達がまず出来ませんよ。
(6)論外ですよ!
2.問題個所のピックアップ
それぞれの言葉について「え?」「なんで?」「気分が悪い!」と思われた個所があると思います。
その個所を自分なりにピックアップしてみてください。
そしてその個所が「認知のゆがみ:力を奪う思考パターン」のどれに当てはまるか分析をしてみます。
認知のゆがみ:力を奪う思考パターン
一般化
1. 過度の一般化:証拠が乏しく、事実もないのにあわてて結論を出す
2. 全か無か思考(ゼロサム):白か黒かという極端な分極思考。選択肢は審議の二値のみとなっている二者択一思考
3. レッテル貼り:過度の一般化による中傷
認知のゆがみ
4. 非難:問題の責任を負わせて非難する
5. 心の読みすぎ(読心術):自分の「直感」を過信し、本人に確認しないで他者の考えや感情や直感を推定する。
6. 先読み:否定的な結果を未来に投影し、前向きに介入する代替法やその可能性のある方法を見ようとしない。
7. 感情的な決め付け:事実の情報源として感情に助言を求める
8. 個人化:周囲の事情や他者の活動は自分に向けられたものだと考え、自己中心的なフィルタを使って世界を理解する。
9. 悲観:最悪のシナリオを想像し、「そりゃひどい」などという場合の「ひどい」という非指示的な言葉でそれを増幅する。
10. べき思考:「~すべき」、「~しなくてはならない」という言い方で自分自身(および他者)にプレッシャーを与え、規則に従わせる。
11. 心のフィルタ:物事の一面だけに過度に集中して他をすべて排除するために視野狭窄におちいり、「ひとつのこと」しか見えなくなる思考バターン。一般的にこの思考パターンでは肯定的な面が排除されるため、否定的な認識が残ることになる。
12. できない思考:「~ができない」という言葉を使って自分自身や他者に言語的・意味的な制限を押し付ける。
13. 割引き思考:解決法になる可能性のあるものをけなして不適格とみなす。
問題個所の例
あくまで自分が「問題だ!」と感じたまま列挙してください。
理由は後でつけていきますから、とりあえず、なんだか気分が悪い!
と思ったことを挙げることに意義があります。
(1)彼女は最低です。
彼女=最低?
(3. レッテル貼り:過度の一般化による中傷)
(2)どこまでバカが続くかって。
(3. レッテル貼り:過度の一般化による中傷)
バカが続く?バカに人格などなんらかの主体がいつの間にか結び付けられています。
(3)バカ攻撃で毎週使ったらいい
(3. レッテル貼り:過度の一般化による中傷)
バカ攻撃=全人格否定をする対象にする?
(4)女がね、ソファーの割れ目に座って、武将のようにどかっとやるんだって
(1. 過度の一般化:証拠が乏しく、事実もないのにあわてて結論を出す)
なぜ、ここでセックスをほうふつとさせる表現をするのか?
(5)そんな小生意気な女達はねお茶になんか絶対、お友達がまず出来ませんよ
(12. できない思考:「~ができない」という言葉を使って自分自身や他者に言語的・意味的な制限を押し付ける。)
なぜ、小生意気なのかがまず不明瞭。
まず、小生意気とお友達の定義があいまい。
3.力がつく思考パターンを使って分析する。
まず、「不特定の名詞、動詞、関係を表す言葉などは、本当にそうなのか、なぜそういえるのか」を考えます。
そのあとで、勝手にレッテルを張られたことを無力化します。これを「名詞化」も無力化といいます。
方法としては、ラベルがどう、正確に、有用に、生産的に、過度に一般化して機能しているのか、現実検討を行います。
思考や言葉遣いを曖昧にしている名詞や偽の名詞の名詞化を無効にする。
やってみましょう。
(1)彼女は最低です。
(3. レッテル貼り:過度の一般化による中傷)
彼女=最低?
これが成立することはありません。
例えば、行為として最低という定義は文化単位で行われます。
人=最低という全人格的な否定は「暴力」です。
(2)どこまでバカが続くかって。
(3. レッテル貼り:過度の一般化による中傷)
最低とバカが勝手に結びついています。
しかもバカが続く?バカに人格などなんらかの主体がいつの間にか結び付けられています。
(1)と並んで二重の全人格否定をされています。
(3)バカ攻撃で毎週使ったらいい
(3. レッテル貼り:過度の一般化による中傷)
バカ攻撃=全人格否定をする対象としてメディアで報道するために使う?
これは明らかにメディアによって暴力的な言動を許容しています。
(4)女がね、ソファーの割れ目に座って、武将のようにどかっとやるんだって
(1. 過度の一般化:証拠が乏しく、事実もないのにあわてて結論を出す)
これは明らかにセックスのことで、割れ目に座るのは男というメタファーとして扱われています。
なぜ、ここでセックスをほうふつとさせる表現をするのか?
イメージをさせることは、個々人に物語ができあがることになります。
物語は視聴者へのインパクトが強く、ここでもメディアでの偏重した考えが許容されています。
(5)そんな小生意気な女達はねお茶になんか絶対、お友達がまず出来ませんよ
(12. できない思考:「~ができない」という言葉を使って自分自身や他者に言語的・意味的な制限を押し付ける。)
なぜ、小生意気なのかがまず不明瞭。
まず、小生意気とお友達の定義があいまい。
そのため、小生意気だからと言ってお友達ができないとはいえない。
お友達の定義があいまいなため、本当にそのお友達が必要なのかどうかも不明。
まとめ
表現の自由があるとはいえ、全人格的な否定をメディアで流すことがどこまで許されてもいいのかどうか。
人が傷つき脱力する方法、「いじめ」る方法を具体的に公共電波を用いて報道しているともいえます。
こうした場合は必ずその「脱力した状態」を「エンパワーする」何らかの支援が必要ではないでしょうか。
逆に占いとは人を幸せに導くものではなく、体制維持のためのツールにすぎないのではないでしょうか。
これで人が幸せになるのでしょうか?
例えば、攻撃された女性を励ます言葉の一つでもあればよいのですが、まったくないのはこれは許されないことではないでしょうか。
これが10年前に許容されていたという事実があります・・・おそろしい。
分析結論の記述
今回の分析結論の記述には
3. レッテル貼り:過度の一般化による中傷については
「力がつく思考パターン/心の枠組み」
1. コンテクストを考える:情報のコンテクストについて調べ、何が、いつ、どこで、何を、どう、誰に、なぜしたのかを示す。不特定の名詞、動詞、関係を表す言葉などは、本当にそうなのか、なぜそういえるのか、しっかりとその正当性を問題にする。
内容を吟味し、不透明な名詞をピックアップしています。
4. 名詞を無効にする:ラベルがどう、正確に、有用に、生産的に、過度に一般化して機能しているのか、現実検討を行って見極める。思考や言葉遣いを曖昧にしている名詞や偽の名詞の名詞化を無効にする。
その後、意味のない名詞を無効化しました。
また、12. できない思考:「~ができない」という言葉を使って自分自身や他者に言語的・意味的な制限を押し付ける。
には
「力がつく思考パターン/心の枠組み」
11. 可能性を考える:「~できない」という言葉の現実検討を行って、物理的にできないのか、心理的にできないのかを見分ける。見分けがついたら、可能性を考える。どこに制限の根拠があるのかを聴く。「なぜ前進できないのか?」「もしできたら、どんな感じがするだろう?どう見えるだろう?どう聞こえるだろう?」
を用いました。
参考
力がつく思考パターン/心の枠組み
思考がゆがむ(不適格、不正確になる)のを阻止しよう。以下のリストを活用し、力のつく認知の管理をする。
1. コンテクストを考える:情報のコンテクストについて調べ、何が、いつ、どこで、何を、どう、誰に、なぜしたのかを示す。不特定の名詞、動詞、関係を表す言葉などは、本当にそうなのか、なぜそういえるのか、しっかりとその正当性を問題にする。
2. 双方との考慮する:その状況が本当に二者択一の選択しかできない状況か、現実検討を行って見極める。もし、該当しないなら、連続体の視点から情報を処理する。対立するように見える二つの選択肢が実際に存在するかどうかを調べる。それらは異なるやり方や、異なる時期、異なる事情などを表しているのではないか?
3. 現実検討を行う:現実検討を行う。その人がどの程度、どんなふうに、それを「望ましくない、望まれてもいない、悪い」ことだとみなしているのか、など、より具体的な理由を明確するために、判断基準や価値観を表す言葉をチェックする。名詞の名詞化を無効にして隠されている動詞を見つけ出す。
4. 名詞を無効にする:ラベルがどう―正確に、有用に、生産的に、過度に一般化して機能しているのか、現実検討を行って見極める。思考や言葉遣いを曖昧にしている名詞や偽の名詞の名詞化を無効にする。
5. 体系的に考える:現実検討を行って因果を見極める。直線的な因果と多面性のある、体系的因果とを区別する。
6. 情報を収集して考える:自分の思考や感情や直感を使って情報を収集し、事実を明らかにした後、結論をチェックする。
7. 試験的な先読みをして考える:要因や原因、影響力、動向などについて高品質の情報を集め、それらをあわせて出来事や事象を作ってみる。その運命に介入してそれを変化させる方法に対して、先入観を持たない。何らかの行動を起こし、結果を観察する。
8. 批評眼をもちメタ思考をする:人間の感情が持つ複合的因果関係について批評的活分析的に考え、その感情の発生源である思考まで遡る。目下のコンテンツの上に位置して、そのコンテンツのパターン、プロセス、構造を考える。
9. 「べき思考」について現実検討を行う:どのような規定や規則や要請がそうすることを命令しているのかを突き止めることによって、「~すべき」という言葉の正当性を問題にする。規則が見つからない場合は、相考えている人に、「できれば~するほうがいい」「~したい」といった願望思考に移行するよう勧める。
10. 個人化を無効化にして考える(分離体験して考える、考え方に対して責任をもつ):そのコンテンツ、あるいはコンテクストが本当に個人的に自分とかかわっているのか、現実検討を行う。かかわっていなければ、一人称ではなく3人称の視点で情報をコード化する。同調することなく共感することを学習する。
11. 可能性を考える:「~できない」という言葉の現実検討を行って、物理的にできないのか、心理的にできないのかを見分ける。見分けがついたら、可能性を考える。どこに制限の根拠があるのかを聴く。「なぜ前進できないのか?」「もしできたら、どんな感じがするだろう?どう見えるだろう?どう聞こえるだろう?」
12. 評価する:何が重要か?どう重要か?その価値はどう評価できるのか?
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