Realistic Fantasie

なぜ、性感染症に社会的支援が必要なのか

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日本におけるHIV対策と社会運動の現状

世界では、NPOなど民間非営利組織が活発にHIVや性感染症予防などの社会運動をしており、

そうした受け皿があることで、貧困支援がなされ、HIV新規感染者が減少しているという成果をあげています。

しかしながら、現在の日本の実情は自己決定権がない自己責任を負う傾向があり、

強いリーダーへの期待という「他者への期待」は自己決定を他者にゆだねることによって、

自尊心を維持する傾向が見えます。

この傾向は、途上国における「コロニアル・メンタリティ」に近いものです。

自分たちの身体や権利を守るためには、情報へのアクセスだけではなく、

自分たちに必要な情報は自分たちで発信するという仕組みをつくることが必要です。

個人ではなく、連帯することという意識をもち、

自分たちが行きやすい環境をつくる。

これが社会運動であり、

それは行政や企業が行うことではない、

という意識を持つことが大事なのではないでしょうか。

なぜ、自分たちの生活を自分たちで改善するという発想がない、

という人が大半の状況となっているのでしょうか。

この原因は戦後に強烈に植えるけられた「敗戦国」「償い」「戦犯国」

として扱いを受けた精神的ダメージはまだ継続しているといわれている。

 

経済は低調気味とはいえ発展したものの、この「無条件降伏」をひきずった精神まま、

これから起こると予測されている様々な危機を乗り越えるのは過酷といえる。

社会的精神状態と社会情勢(自殺率が高い、ジェンダー・ギャップが大きいなど)との関連性が見受けられる。

植民地化を体験した国や法制度の下個人の自由が強い規制がある、

あるいはあった国はある程度社会が発展しても自殺率は下がらない、

という統計データ解析がある。

では、それを下げるためには何が必要なのでしょうか。

日本は戦後のGHQのコントロール下におかれていたため、実質「植民地」とほぼ同じ状況といえます。

植民地として植え付けられた脱植民地の政策からヒントを得ることができる。

脱植民地政策ではコミュニティの再形成と発展をしている。

しかし、日本のコミュニティ、市民社会の形成はほとんど意識されていない。

日本での現状は
1.参加者がコミュニティの活動が何かを知らない(知識がない)。
2.目的が定かでないため参加する活動への意欲不足。
3.潜在意識が個別化からの変革ができず、社会全体への波及に至らない。

理由として規制に基づき情報と意識の「閉鎖性」より、

コミュニティ発展の原動力のない、極めて脆弱な社会を構築してきたからといえます。
具体的には100年以上にわたる旧民法34条[組織結社の許認可]による法規制によって

日本における社会運動は偏見にさらされ、弱小組織が乱立した。

最も社会運動で重要なアドボカシー(政策提言)やロビーイング活動(政治家への政策立案提案)を

展開する大きな組織はごくわずかしか育たなかったという事実があります。

情報統制がたやすくされることから、危機に脆弱な社会システムの再構築を繰り返してきました。

ボランティア元年といわれる阪神・淡路大震災を契機に議員立法としてNPO法が成立したものの、

残念ながら、各政党の小選挙区制施行後の生存戦略及び行政側の強い抵抗にから

旧民法34条の廃止は2008年のNPO法改正まで待つことになった。
他方、代表制民主主義体制における限界

「会派を持たない無所属議員には議会での質問権がない」など

体制的な課題が残されている。

加えて、2013年12月特定秘密保護法が可決され、表現の自由の危機的な状況を迎えています。

繰り返しますが、自分たちの身体や権利を守るためには、

情報へのアクセスだけではなく、

自分たちに必要な情報は自分たちで発信するという仕組みをつくることが必要です。

個人ではなく、連帯することという意識をもち、

自分たちが行きやすい環境をつくることが社会運動であり、

それは行政や企業が行うことではないという意識を持つことが大事なのです。

海外(途上国)における性感染症対策を知ることができる3大書籍

途上国での感染拡大の要因は「貧困スパイラル」が要因であり、
HIVAIDSパンデミックの要因

にて詳細を述べる。

そして、以下3つ著作について貧困とHIVを初めとする性感染症の現状が明らかにされている。

1.ジャック・ペパン著 エイズの起源
2.スーザン・ハンター著 WHO CARES? AIDS In AFRICA
3.アビジット・V・バナジー, エスター・デュフロ著 貧乏人の経済学 – もういちど貧困問題を根っこから考える

1.ジャック・ぺパン著 「エイズの起源」

ジャック・ペパン『エイズの起源』

・チンパンジーのHIVがなぜ、人間型に進化したのか、
・アフリカ発祥のHIV/AIDSがなぜアメリカに到達したのか、
・なぜ、感染力の弱いHIVがなぜ世界中蔓延したのか

これらの事実を明らかにしました。

チンパンジーからHIVが発見され、食用する習慣がある旧コンゴでは

1920年代から人類へのHIV/AIDS発症記録があります。

ここでは映画にもなった「エボラ」もアウトブレークしています。

植民地政策で政情不安定になったコンゴで町中に売春婦があふれ、

HIV感染が飛躍的に広がった。

パナマ人男性がここからカリブ海、

そしてアメリカへHIVを持ち込んだのが発端ということが記載されています。

このような政情不安定からなる売春や戦争そして汚染された血液が

消毒されない不衛生な注射器が要因となり、世界中にHIVが広まった事実を伝える名著です。

2.スーザン・ハンター著 「WHO CARES? AIDS In AFRICA」

Who-Cares-Africa-Susan-Hunter

2003年ジョージ・ブッシュ2世がこの書籍を読み、

アフリカでのHIV/AIDS感染拡大の深刻さの要因は西洋諸国の植民化であるということを認識した。

そしてジェネリック薬購入資金拠出のためPEPHER(大統領エイズ救済緊急計画)を発足させた。

同時に米国の製薬会社Eli Lillyの社長だったランダル・トビアスを大統領エイズ特別顧問に任命しました。

当時、予定よりも資金が少なかったこともあり非難も多い。
しかしながら、この書籍はウガンダのNGOによるanti-HIV/AIDS啓発活動をしている少女を主人公に、

わかりやすくエイズについての知識をダーウィンの進化論と感染症の歴史を交えて紹介しています。

この書籍が日本語化されていないのは残念でなりません。

3.アビジット・V・バナジー, エスター・デュフロ著 「貧乏人の経済学 – もういちど貧困問題を根っこから考える」

貧乏人の経済学 もういちど貧困問題を根っこから考える

冒頭より、

経済学者や他の専門家たちがなぜある国が成長していないのか、についてほとんど有益な回答ができていない。

と言い放っている。

成長がどこで起こるかほとんど予測が出来ず、突然成長が出現するのか、理解していない。
これを前提とし、社会政策が経済政党と関係なくても、

今の貧乏人生活向上に出来る限りのことをすべきで、

成長の臨界点を待っているだけでは貧困は解消されない、

とまたしてもばっさり言い切っている。

貧困削減の銀の弾丸はないものの、貧困がもたらす人生と才能の無駄を甘受すべき理由などないとし、

5つの重要な教訓を示しました。

・適切な情報、正しい情報へのアクセス
・選択権が少ない状況の中、人生の多くの責任を背負いすぎている
・融資や銀行口座が不当に高い
・詳細な政策設計における十分回避可能な欠陥が回避できない

原因は3つのI ignorance(無知)、ideology(イデオロギー)、inertia(惰性)がある。

だからこの3つを解消する必要があるとしている。

・成功のサイクルを開始させる(そのためにものを渡すことも必要)

既存の社会政治構造を変えずにガバナンスや政策を改善することは出来るという

示唆にとんだくくりとなっている。

これらは途上国だけではなく先進国にも有益な示唆でもある。

これらの書籍はなぜ、日本、中国や韓国での性感染症やHIV新規感染者が急増しているのか

理解できる現象が記載されています。

 


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