Realistic Fantasie

HIV/AIDSパンデミック(爆発的感染拡大)の要因

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医学的な感染経路は、血液感染、体液感染、母子感染に分類されます。
血液感染はドラッグユーザが注射器のまわし打ちをしたり、出血を伴う性交渉を行った場合に感染します。2013年11月、輸血でHIV感染した報告がなされました。これも血液感染です。しかしながら蚊に刺される程度では感染することはありません。
アメリカは社会的差別の対象であるゲイの間でエイズが蔓延しました。しかし、エイズの起源はアメリカではなくアフリカです。1920年代にはアフリカですでにエイズが発生していたという記録があります。

では、アフリカでのエイズ感染拡大はどのようにしておこったのでしょうか。

戦争とエイズの関係~ウガンダの事例
東アフリカ赤道直下のナイルの源流ビクトリア湖畔に位置するあるウガンダ共和国。

1986年、ビクトリア湖畔のあるラカイ州ラカイでウガンダ共和国内第一号のAIDS発症死亡報告が入った。長期間の内戦があり、終焉した内戦後のことだった。死亡した男性はキューバで軍事訓練を受け、帰還した兵士の中の1名でした。その情報を元に内戦が終結する間際にキューバで軍事訓練を受けていた帰還兵士101名全員HIV反応テストをした。もののみごとに全員陽性反応という結果となった。この事実を重大に受け止めた当時の大統領は強力なエイズ撲滅キャンペーンを地元のNGO・TASO(USAID 2005)とともに開始した。TASOはHIV陽性のイギリスとウガンダで人気絶頂の歌手がコンサート時に自分がHIV感染者であることをカミングアウトした。その歌手の支援し、ビクトリア湖畔の地域に住む女性たちを対象に性行動改善教育を行いました。
2000年より開始された、ハイリスク・グループの一つである2輪自動車のバイクタクシー運転手の行動解析調査をワークショップを開くことでその音声データを解析した結果以下のことが明らかになりました。
もともと彼らは地方のムラ出身ということなのですが、男性がムラのなかで「成人」とみなされるためには、早い時期に家を出、自活することを義務づけられていました。そして、できるかぎり早い時期に多くの女性と性的な関係を持ち、多くの女性と結婚をすることでした。
多くの女性と性的関係を持つ場合、必ずデートをすることになる。彼らはデートのたびにプレゼント(小さ
な額でも)を必ずおくらなければならないしきたりがありました。そして彼らは多くの女性と性的な関係をもち、複数の女性と正式に婚姻関係を持ち、多くの子どもと婚外子も含めもつことで認めら、ムラでの発言権をもつ「大人の男」としてめでたく「認定」されるということです。
従って、学校で学ぶよりも簡単にお金を稼げる仕事に就く必要がある。一人前の男、コミュニティで認められること=大人の男性にはやくなることに最も価値がおかれているからです。これは、コミュニティにおける「発言力」や存在意義が社会的価値としてもっとも高く、教育レベルやお金や家畜といった資産というものには意義がおかれていない、ということになるわけです。


ある意味、狩猟・採集社会の延長にあるしくみといってもよいのですが、果たしてそれだけで説明がつくことなのでしょうか。
教育レベルがあがらない、ということは貨幣経済に変化した現代では、社会的ライセンスをもっていないこととなり、就業する機会を逃すこととなります。そして彼らの子ども達も同じ道をたどることになります。

日本の場合は性感染症やHIVについて情報や知識が不足しがちです。
自由度が高いようで実はそれほど高くない状況の場合は、法制度を変えていくという運動をするほか、自分たちでも防衛をしていく必要があります。

支配者が永遠にその地位を確保するためには、心技体ともに己がトップにでるためにはある意味必要なことといえます。そして「貧困が貧困を呼ぶ」悪循環はこうして誕生し、今まで延々と「持続可能な成長を阻み続いてきた」わけです。

調査結果ではバイク・タクシー・ドライバーたちは多くの女性と付き合うことと、小さなプレゼントは別のものという認識を持っているということがわかりました。そして、付き合うのであれば、お金をもっている未亡人に限るというわけです。なぜなら、簡単にお金を稼げるからです。たくさんの女性よりもお金がほしいということなのです。
しかしながら、未亡人はなぜ、未亡人となったのでしょうか。理由は、エイズでだんなを亡くしたといえます。ということは未亡人もHIV感染者といえ、バイク・タクシー・ドライバーたちはお金ほしさに、HIV感染の危険を犯し、未亡人と付き合うわけです。こうして、彼らは短時間で移動し、その移動場所に彼女をつくり、家庭を作り、そして、多くの愛人をもち、HIV感染は拡大していったといえます。

この対策として、まずバイクタクシードライバーの労働組合をつくり、そこでエイズ予防教育、ファミリープランニング、貯金などのライフスキル教育を行いました。 労働組合という実践コミュニティと「生涯教育」を組みあわせ、何度も反復して繰り返され、生活が改善されました。新しい仲間=労働組合は新しい価値が創出され、かれらは新しい価値のもとで新たな人生をスターとすることができるようになったのです。
そして、ウガンダ政府は初等教育にジェンダー・イコーリティ教育を必須教育として導入し、低迷してた教員のモチベーション向上のために給与をあげることで当初国内平均HIV感染率20%だったウガンダ共和国は15年あまりで6.7%までエイズ感染率を低減させ、世界初のWinnerという地位を獲得することに成功している。

アメリカのゲイの人権獲得のための社会運動もそして、アフリカでのエイズ対策も共通点があります。それは社会的マイノリティという立場にあり、厳しい社会的制約の中で生活をしなければならない、ということです。

エイズ感染が内陸国に多い理由として、グローバリゼーションあるいは、貧困(南北問題)やジェンダー格差や交通が東西南北に行き交うためといわれているが実はそれだけではないということです。「権威共同体」がその権威を存続させるためにつくりだした様々な「伝統・習慣」は構成員にももはや形骸化されたものとなっている。アフリカにおける多産を「人こそ財産」という美しいことばによって覆い隠され続けた「貧困スパイラルの罠」をどう扱うか、十分な検討と注意を払いたいです。そして、アフリカでの教訓を日本や中国でのHIV対策に応用することを進める必要があるといえます。

日本の場合は性感染症やHIVについて情報や知識が不足しがちです。
自由度が高いようで実はそれほど高くない状況の場合は、法制度を変えていくという運動をするほか、自分たちでも防衛をしていく必要があります。


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