Realistic Fantasie

ダンス抑圧事象についての考察

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2012年12月警察庁生活安全局保安課より「客にダンスをさせる営業」原議保存期間5年(平成30年3月31日まで)に係る質疑応答について通達が出されました。

客にダンスをさせる営業に係る質疑応答について
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令の一部を改正する政令
(平成24年政令第274号)及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則の一部を改正する規則(平成24年国家公安委員会規則第14号)が平成24年11月21日に公布、施行されたところであるが、客にダンスをさせる営業に関し、これまでに当課に寄せられた質疑及びその回答を別紙のとおり取りまとめたので執務の
参考とされたい。

とし、以下のような内容になっています。

警察庁の見解として客にダンスさせる営業そのものは、健全な娯楽と解しています。しかしながら、飲食を伴わない4号営業と客に飲食させる3号営業によって判断基準が異なっています。

飲食を伴わない4号営業に関しては社交ダンスの様に男女がペアとなって踊るダンスを規制の対象となります。ただし、男女がペアと通常ならないダンス(ヒップホップなど)は直ちに規制の対象となりません。例えば、ダンスをさせるための営業所の部分の床面積がダンスの参加者数に比して著しく狭く、密集してダンスをさせるものなど、男女間の享楽的雰囲気が過度にわたる可能性があるものについては、4号営業として規制対象となり得る、としています。最終的には、営業の実態を見て個別判断という結論が記載されています。
もっとも、いわゆる社交ダンス講座等であっても、その実態を個別に吟味し、
4号営業の要件を充足すると認められる場合には、風営法の規制対象となる。

飲食を伴う3号営業に関しては男女がペアとなるダンス以外も原則として規制の対象になるとされています。但し享楽的雰囲気が過度にわたり風俗上の問題等を生じさせるおそれがあるとは認められない営業は除くとして、食事付きの盆踊り体験プログラムが例示されこれは規制の対象外とされました。

風営法第2条第1項第3号に掲げる「ナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(第一号に該当する営業を除く。)」(以下「3号営業」という。)については、4号営業と異なり、「客にダンスをさせ」ることに加えて、「客に飲食をさせる」ことを伴うものであり、このため、4号営業よりも享楽的雰囲気が過度にわたり風俗上の問題等を生じさせるおそれが大きいことから、ペアダンスをさせるものはもとより、ペアダンス以外のダンスをさせるものであっても、なお所要の規制を行い、各種弊害を防止する必要がある。実際に、風営法の規制に違反して営まれている3号営業の状況をみると、ペアダンスをさせているものではなくても、店内外における暴行・傷害事案等が発生したり、周辺住民等からの騒音や酔客による迷惑行為等の苦情が警察に寄せられたりするなど、善良の風俗等を害し、各種問題を起こしている実態がある。
したがって、ペアダンス以外のダンスをさせるものであっても、併せて客に飲食をさせる営業については、3号営業として規制対象となる。

この見解、表向きは性被害やHIV感染拡大予防という目的があるように見えます。
しかしながら、このダンスやクラブ生成の歴史的背景をみると、少し異なった見解もできないわけではありません。

ここ5年、結社や表現の自由についての法律がめまぐるしく変化している。そういった背景を考慮すると以下のような見解もでてきます。

 

1.ドラッグ販売
社会的マイノリティには仕事という収入を得る機会が極めて限られています。そのため、地下組織ゆえにドラッグ販売も地下組織内で行われました。調査によると、薬物依存症向けの認知行動療法を受けている薬物依存患者の約7割が、クラブ利用経験を有することが報告されています。
http://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/drug-top/data/researchSHIMANE2012_2.pdf
HIV/AIDS感染経路としても静脈注射を行うドラッグのまわしうちで感染拡大するケースが多いこともあり、制限がかかるのも理解が出来るわけです。

2.セックスワーカーという偏見
あってはならない仕事という位置づけのため、セックス・ワーカーといわれる風俗に勤める人たちはいろんな医療的サポートを受けにくく、セイフティネットの網から抜け落ちた存在といえます。
日本では2013年にようやく、シンポジウムが開かれ、セックスワーカーという職業につく人たちの健康に働くことと、他の職業に就くためのトレーニングや支援を行えるしくみができつつある。
http://swashweb.sakura.ne.jp/
これもHIV/AIDSという疫病の拡大を防ぐことを目的となりますが、本来はなぜ、セックスワーカーとならざるをえないのか、という議論を進めていく必要があります。
彼らは日本国内で隠し続けえられている貧困層に位置しており、生育暦があまりよくないことから、就業の機会を著しく奪われていることが多いのが事実です。貧困対策を行える状況になってきたことは皮肉なことに東北大震災という犠牲があったからともいえます。
また、セクシャル・マイノリティに属する人たちは、若年のうちに過度な性的行動をとることが多くなることから、就業の機会を失いがちになります。アメリカでの調査結果ではレズビアンの女性ほどSEXをする年齢が低いということが明らかになっています。
同様にセックス・ワーカーの多くは精神疾患を持った人やボーダーという結果もあります。
以上のことから、日本での貧困対策を行うために、高等教育までを義務教育化し、社会的マイノリティに陥りがちな人たちを大学に優先的に進学させ、教育サポートをいれるアファーマティブ・アクションを日本でも積極的に導入する必要があります。当事者支援のあり方自体も再考する必要があるということになります。

3.地下組織形成の予防

ディスコはフランスのディスコティークから派生した言葉です。第二次世界大戦下のナチス・ドイツの占領下にあったフランスの首都パリではバンドに合わせて集い踊るという行為を禁止されました。今の日本の状況と似通っています。
全面禁止という措置はいかなる歴史においても潜伏して活動は継続されます。パリっ子たちは、深夜、隠れ家にあつまり、レコードに合わせて踊っていました。これを人々はディスコティーク(レコード=ディスク)と呼ぶようになりました。
1964年ベトナム戦争開始、1965年ソドミー法(口内性交や肛門性交等という特定の性行為を性犯罪とする法律)がニューヨーク州で制定され、このころにディスコがニューヨークに出現しました。
戦時中は男性兵士間レイプが横行します。当時は軍法会議で取り上げられることも少なかったといえます。そんな中、ゲイ・コミュニティは戦争という無差別殺人に対する正式な抗議としてゲイ・コミュニティ内の無差別SEXをすることで「生」への尊厳「ラヴ&ピース」を表現しました。
たとえば、ベトナム戦争の最中の1969年3月20日に結婚した故ジョン・レノンとオノ・ヨウコは「ベッド・イン」と題した平和活動パフォーマンス「ラヴ&ピース」の代表的イベントとして催されました。公開セックスはなかったものの、ヌードをアルバム・ジャケットにしたり、雑誌の表紙でセックスするグラビアを掲載するという表現をしました。
音楽とダンスはディスコという地下組織から生まれ、そして、社会的マイノリティたちが人権を獲得するために集っていたのです。


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