セクシャル・マイノリティとは
セクシャル・マイノリティはセクシャル・マジョリティの反対語として使われています。
セクシャル・マジョリティとは、性自認が男性もしくは女性であり、異性愛者を指します。
ではセクシャル・マイノリティとはいったいどんな人を指すのでしょうか。実は、セクリャル・マジョリティ以外の人を指します。
まず、性自認とはいったい何を表すのでしょうか。
日本人として生まれた場合、生後すぐ、性別を告げられます。性別は生殖器の発達具合をみて判断され、男性か女性かを出産に立ち会った医師によって判断されます。しかしながら、その生殖器がどちらともつかない子供たちも存在しています。彼らをインター・セックス(両生殖器保有している人)といわれています。事実、哺乳類で奇形がもっとも多い部位は実は生殖器です。
身体と精神が成長し、自我が芽生えることに自分の好むものがわかってきます。その後、ホルモンの分泌が変わる時期を第2次成長期といわれている10代前半から10代後半までの時期に、はっきりと、生物学的性別とは異なる嗜好を持ち、異性の好むものを身に着けたがる人たちがいます。あるいは異性愛とは異なる恋愛感を持ち始める人たちもいます。
また、自分の身体のなかでも生殖器に違和感を抱き始める人もいます。たとえば、本来であればついているはずのペニスがないと感じる生物学的性別が女性とされる女性たちや、本来であればないはずのペニスがついていると感じる生物学的性別が男性とされる男性たちです。
また、性的対象を持たない無性愛は「エイセクシュアル(アセクシュアル、asexual)」といわれています。
彼らを頭文字をとり、LGBTあるいはLGBTIといわれています。Lはレズビアン(恋愛対象が女性の女性)、Gはゲイ(恋愛対象が男性の男性)、Bはバイ・セクシャル(恋愛対象が男性も女性も両方の人)、Tはトランス・ジェンダー(性自認が生物学的性別とは異なる人)、Iはインター・セクシャル(生殖器が両性もつ、あるいは持たない人)のそれぞれの頭文字をとりセクシャル・マイノリティとして表現されます。
彼らは法制度より「常識」とされている性別が二分化されたカテゴリーに属さないため、生後本人の意思にかかわらず「矯正手術」されるケースがあることから、当事者の権利を守ることを目的にしたジョグジャカルタ原則が2007年に国際連合人権理事会で承認されました。2006年にインドネシアのジョグジャカルタでのガジャ・マダ大学の国際会議でドラフト版を遣唐使、2007年3月26日にジュネーヴの国際連合人権理事会で承認されたものがあります。
しかしながら、同性愛への取り締まりが近年アフリカでは強化されています。その要因としてゲイ(同性愛者)の間でエイズが拡大感染したことです。
制度から外れた存在の、セクシャル・マイノリティの彼らの中でHIV/AIDS感染率が高いのでしょうか。
そして、なぜゲイたちはHIV/AIDS検査を積極的にしているのでしょうか。
「国際ゲイ・レズビアン協会」((International Lesbian, Gay, Bisexual, Trans and Intersex Association、略称ILGA)は、600以上のレズビアンとゲイ、トランスジェンダーそしてインターセックス関連団体が参加する国際的な協会のこと)の2013年報告書によると、同性愛を取り締まる法律は世界76か国ほとんどが罰金刑や禁固刑ですが、正確にはイスラム圏の国々のうち7カ国 イエメン、イラク、イラン、サウジアラビア、スーダン、チェチェン、 モーリタニアでは極刑(死刑)となります。このような差別的な法制度がまかり通る理由として、日本のメディアで報道されているのは宗教、排除、独立という見解がなされています。
宗教としてはキリスト教の「あなたの隣人をあなた自身のように愛しなさい」とは旧約聖書レビ記レビ記19章17-18節 で述べられており、新約聖書の基礎となるメッセージになっています。そのレビ記レビ記18章22節では「汝、女と寝るのと同じように男と寝てはならない。これは忌み嫌われるべき行為である」とし、同性愛はシン(罪)とされています。イスラム教では旧約聖書、新約聖書とコーランが聖典と位置づけられており、レビ記を踏襲しつつ、コーランを指針としたイスラーム法(シャリーア)によれば死刑となります。また、イギリスでは、1967年に性犯罪法が制定され、ゲイ(男性同士が愛し合うこと)が人権として認められるまでは、違法でした。
キリスト教が普及する前のイスラム、アフリカやヨーロッパでは同性愛が許容されていたという史実があります。しかしながら、中世以降、原理主義的なキリスト教(キリスト教徒以外は死後、地獄に堕ちるとしている)が聖戦という名の侵略とともに、同性愛を差別の対象としています。典型例が、ソドミー法( Sodomy Law)です。性行動としてオーラルセックス、肛門性交、獣姦を「自然に反する性行動」としています。また、HIV/AIDSは同性愛者に対する天罰とし、同性愛者差別を助長している。同様に有色人種差別は顕在しています。
政治的な使われ方としては、排除とそして、政党維持のための政策として利用される場合ばあります。前者は世界の経済状態が悪化した場合、そのフラストレーションのはけ口として「排除」対象として利用されることになるのです。後者はアフリカでの同性愛排除法と日本における性同一性障害者の性別取り扱い特例に関する法律があります。
2014年2月、中央アフリカのウガンダ共和国のムセベニ大統領は一部の同性愛行為に終身刑を科す「反同性愛法案」に署名しました。海外メディアのインタビューに対し「アフリカの伝統文化擁護」「アンチ内政干渉」ということとし、自国内で充足可能な状況という意思を表明しました。
日本では2003年性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が設定されたものの、「性別の取扱いの変更の審判」を科した上で、同性結婚を認めており、諸外国の同性婚制度と比較し、危険な性転換手術を義務化する極めてハードルが高い法制度になっています。
第三条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができます。 一見、同性婚を認めたように見えますが、実際には、子供という将来の収入源をなさない婚姻を原則認めないというものです。そしてどうしても婚姻したい場合、生殖機能をすべて奪われ、子孫を残さないことを前提として認めるという法律になります。
第三条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一 二十歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
四 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
2 前項の請求をするには、同項の性同一性障害者に係る前条の診断の結果並びに治療の経過及び結果その他の厚生労働省令で定める事項が記載された医師の診断書を提出しなければならない。
これは、1994年東京地裁は、同性愛と異性愛を定義し、同性愛を異常視する傾向の見直し中としていた(判例時報1509号)の見解に対して後退した対応といえます。
このように、将来性がまったくなく、差別し続けられる見えないセクシャル・マイノリティたちは生きること自体が酷なものになります。一生うだつのあがらない一生を送るしかないという選択肢しかない場合、倒錯した行動をとりやすくなります。日本では上記法律制定後、日本国内で性転換手術を推進していた埼玉医科大学で手術取り止めを決定したことより、混乱が発生してしまい、絶望から自殺者も出てきています。ドラマで性同一性障害やインターセクシャルというものが取り扱われ、社会的認知が進んできているものの、法制度がまだ追いついていない状況なのです。
しかしながら、彼らこそが性感染症の検査を率先して行っています。アメリカではHIV/AIDS予防活動に多大なる影響を与えたゲイコミュニティの社会運動によって、社会的に認知され、今では先進的な州では州法として同性婚を制定することに成功しています。
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