質的メディア分析~実践編03
スクリプト
「N.A.の知られざる歴史をご覧いただこう」
T: N様伝説・・・言いたくないセリフは言わない!人のセリフまで変更させる!
K子: こういうこと言ったら、女優生命終わりですよ。
絶対!その後いい仕事なんか来ないよ。
そこから下降線ですよ。作家さん監督さんに対する冒涜侮辱よ。
それいっちゃ終わりよ、バッカだねぇ!
分析事例1
* こういうこと言ったら
1 わがままな女優として捉えており且つ女優は従順に従うべき、
というアンチジェンダーメッセージがある。(一般化 歪曲)
言い換えれば自分を持っている“人間”としての女優であり、
作品をけなしているのではなく、より良い作品とするための
女優としてのプロ意識をもった発言である。
*女優生命終わり 絶対! バッカだねぇ!
1 無価値・無力・絶望=力を奪う言葉の繰り返し。(制限のビリーフ)
* いい仕事来ない 下降線
1 全然関係ない言葉を結びつけている。(一般化 事実の歪曲)
作家さん監督さんに対する冒涜侮辱
絶対的な上下関係があることを前提にした発言。
この絶対的な関係性の存在が浮かび上がる。
果たして、女優は作家や監督よりも立場が低いのか?
確かに、作家はこの作品を作った人間であり、その作品に対して作成者という権利をもっている。
しかし、著作権は作家にはなく、出版社にある。
そして、その出版社が映画会社からその作品を映画化するというということで、
利用権利を金銭で交換しているといってもいい。
そして、監督はこの作品を映画にすることをオーダーされた雇われた人材であることには違いはない。
作家、監督、女優は映画会社からそれぞれの業務を映画会社から言い渡され、雇われた人材だ。
作品を制作するにあたって、監督は指揮をするが、あくまで作品を作るという指揮権を持っているにすぎない。
演じるのは女優は監督の指揮のもとで参画することには違いはないが、雇われという立場は一列だ。
女優が自分が納得しないセリフは変える、という行為は作家、監督への冒涜侮辱だろうか。
女優はその作品の中で重要な役割を負っており、作品をより深く理解しその役になりきる。
そのために非常に多くの時間を費やす。
したがって、時に作家や監督よりもその作品自体の時代背景や歴史を詳細に調べ、考えることも多い。
ということは、映画としての価値を深めるために必要な行為なのだ。
落ち目になっており、年齢も39歳と非常に微妙な立場の女優に対して
所属事務所はこのK子の言動を許容している。
追い打ちをかけるようにK子は叫ぶ。
それいっちゃ終わりよ、バッカだねぇ!
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