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社会の変化はウイルスの進化を促す?HIV/AIDS起源と進化の研究成果

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国際的な研究チームによると、エイズ(AIDS)が人間に感染し始めた時期は従来の説よりも30年以上早かったという。20世紀初頭にアフリカ中西部で進んだ急速な都市化によって誘発された可能性がある。その後の世界的大流行を促した状況を理解することは、今後エイズを制御してゆくこととともに、将来の新たなウイルス感染症の拡大を予防する上で重要な鍵となるだろう。

エイズ流行の起源は1880年代


研究の責任者でアリゾナ大学の進化生物学者マイケル・ウォロビー氏は、「急速な都市化はエイズの大流行を開始させるターニングポイントとなった。人間が起こした状況の変化によって、人間の体内には存在していなかったウイルスが取り込まれ、人間の伝染病へと変質したのだ」と話す。

これまで、世界中のほとんどのエイズの原因となっている「HIV-1グループM」という菌株の起源をたどると、1930年のカメルーンに行き着くと考えられていた。エイズ発症とHIV-1感染の広がりは、1960年頃にベルギー領コンゴの首都レオポルドビル(現在のコンゴ民主共和国のキンシャサ)で確認されるようになった。

しかし、今回の研究によると、このウイルスが人間の間に流行し始めたのは1884~1924年頃のサハラ以南のアフリカである可能性が高まった。

ウォロビー氏のチームでは1958~1960年にキンシャサで収集された組織サンプルを分析した。1960年に採取したサンプルの1つには、HIVウイルスの遺伝物質であるHIV-1 RNAが含まれていた。

研究チームはこの1960年のウイルスの遺伝情報を、既存の最も古いHIV-1菌株と比較した。この菌株は1959年に採取されており、1960年のウイルスとは別に進化したものだ。その結果、1960年のウイルスは1959年の菌株とは大きく異なることが分かった。

研究チームは次に、HIV-1ウイルスの進化的系統樹を作成した。1959年、1960年のウイルスをはじめ、最近の100種類以上のウイルス配列で構成されている。数学的モデルを使って分析した結果、1959年の菌株との数々の相違点から、1960年のウイルスは少なくとも40年かけて進化してきたことが判明した。両者の共通の祖先をたどると1908年までさかのぼることも分かった。

この研究は、10月1日にNature誌で発表された。

メリーランド州にある国立アレルギー感染病研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は、「今回の研究で、HIVが人間に感染し注目される流行病となる前に、このウイルスが何十年間も潜んでいたことが確認された。1970~80年代に流行し始めた型のウイルスとは対照的だ」と述べている。

「HIVウイルスがチンパンジーから出現して人間の感染症として定着していった時間の経過について、一段と理解が深まった。植民地の終焉、人々の都市への移住、売春の増加、性的行動の乱れなど、感染症の広範な広がりを助ける社会的状況が整うまで、HIV-1は数十年の間、レーダーに映らないような“低空飛行”を続けていたのだ」とファウチ氏は説明する。

ニューオーリンズにあるチュレーン大学の微生物学者ロバート・ギャリー氏は、「今回の研究は非常に重要だ。ウイルスの流行を促す要因は、社会の変化とウイルス自体の変質の両方が考えられるが、その状況を理解しておけば、将来ほかのウイルスが出現したときに、その流行に対する準備も容易になる」と述べている。

 

そしてニューテクノロジーによる感染率低減は困難

ヨーロッパでは、HIV感染の高いリスクにさらされているキー・ポピュレーション(key population HIV感染率が高い行動をとる人口群のこと、ハイ・リスク・ポピュレーションは差別用語のため最近はキー・ポピュレーションといわれはじめた)のHIV陽性率が高くなっている。特に、MSM(男性とセックスをする男性)、東欧のIDU(静脈注射による薬物使用者)とその性交渉を持つパートナーといった人口群です。
2014年1月28日 (UNAIDSサイトhttp://www.unaids.org/en/resources/presscentre/featurestories/2014/january/20140128game/より)

ヨーロッパにおける新規感染ゼロ、差別ゼロ、エイズ関連の死亡ゼロの3つのゼロの実現を目指し、国連合同エイズ計画(UNAIDS)は2014年度早々先週、スイスのジュネーブにある本部で会議を開催した。

参加者は欧州委員会、欧州連合諸機関からの専門家、キー・ポピュレーションやHIV/AIDS治療および予防サービス提供組織(NPO/NGOなど)、研究機関、政府、国連からの代表です。

多くのヨーロッパ諸国は、キーポピュレーションに関する戦略的情報がまだ偏っており、偏見、差別、HIV感染の犯罪視、サービスとインセンティブの不足を要因で、適切な調査活を妨げています。


MSMの間での新規HIV感染拡大は主に地方の農村地域や小都市、および東欧諸国に広がってきている。この現象は、ニュー・テクノロジーの普及が関係していると考えられるという見解を示した。

「インターネットとソーシャルメディア革命は、ヨーロッパ内外のHIV対策の風景を根本的に変えようとしています」ウディ・ダヴィドヴィチ オンライン調査・予防研究主任研究員、アムステルダム保健サービスの見解を発表しました。

インターネットやソーシャル・メディアというニュー・テクノロジーによって、男性が同性間のセックス相手と出会う機会が増え、これらのサービスを使うセックスワーカーも増加してきているのは確かです。同時に、合成注射薬物のインターネット市場も急速に発達している。
これらニュー・テクノロジーという社会的情報新技術は、研究やピア・アウトリーチをはじめ、地域限定の出会いから、国境を越えた出会いの場を提供するという、相互交流の機会をもたらし、新世代のアクティビズムとコミュニティの活動を活発化させるものでもある。このことはヨーロッパのHIV対策という「ゲーム」を急速に変化させている。

「アテネでもアブジャでもストックホルムでもHIVの流行に大きな影響を受けているキーポピュレーションとともに対策に取り組み、その人たちの人権を守ることが必要です。人々を置き去りにはできません」
ルイス・アマドラ UNAIDSプログラム担当副事務局長の弁を借用したい。
そして、いかにして彼らの人権を擁護するか、女性どうよう、クォーター制などのポジティブ・アクションが必要とされている。トイレなどのインフラ設置も必要ともいえる。

いずれにしても当事者とそして政策決定者の間で何が必要なのか、どうすれば彼らの人権を確立することが出来るのか、話し合う必要があります。

そして、まずは、キー・ポピュレーションがHIVをはじめ性感染症に感染しているかどうかを検査するアクセス権の自由はニュー・テクノロジーによってもたらされた恩恵という現実も忘れてはならないことです。

アフリカでエイズ・パンデミックミックが起きた理由

・年齢差の大きい若い女性を男性がセックス・パートナーに選ぶ傾向の強いこと、
・セックス・パートナーを代える頻度が他の地域より高いこと、
・未治療のSTDが多いこと、
・欧米や アジアより古い時代にHIVが浸透したと考えられることなどがその理由として挙げられています。

アフリカ人男性のマチズモ


(machismo= 多数の女性と性交渉をもつことを男らしいと考えるライフスタイル)
がHIV感染の拡大を助長しています。
アフリカにはpolygamy(一夫多妻)の伝統が根強く残っている地域では、。
ケニアのルオ(Luo)族は、 死んだ(エイズによる死も含む)夫の妻を親族が娶る風習や、
ザンビアの一部の地域では、妻か夫が死ぬと、死者の霊を解き放つため、
残された人 が最も近い親類と性交をする”祓(はらえ)”が行われる
などの風習があり、これらの風習によってHIV感染を広げているといってもよいでしょう。

マチズモの影響もあり、売春行為も盛んで、
観光地や国境地域では売春婦の感染率が25ー88%にも達します。
(Science 1988; 239: 573-579)。

教育を受けた比較的裕福なエリ-ト層は、性的に活発なライフスタイルを維持しうる可処分所得を持っているため、これらの人々の間でHIV感染が拡大しました。
アフリカの貴重な人材が失われ、経済活動や文化 活動に重大な支障の出ることが危倶されており、
(Ann Int Med 1991; 116: 339-341)、女性労働に依存する割合の大きいアフリカの農業が、
すでに女性の減少で打撃を受けていました(Ann Int Med 1991; 116: 339-341)。

これらの「予測」15年以上あとの世界ですべて的中し、
アフリカは壊滅的な打撃の後、HIV新規感染率は低下しています。

このマチズモの影響は、中国、韓国、日本でも根強く残っている思想ということから、
いかにしてマチズモという価値を低くするか、ということに今後のSTI感染率低減にかかってくるといえます。
日本国内では未だゲイ間の感染率が高いですが、MSMによる異性間感染も徐々に増えてくることは他の国々の敬意からも明らかなことです。
そして、ゲイのひとたちがなぜ、乱交をするのか。
戦争反対だけではなく、抑圧された欲求というものがあるといいます。しかし、ゲイの間でもマチズモ(多数とのの性交)に価値がおかれているのはなぜでしょうか。
その抑圧された欲求が性交であり、その性交の多さに価値が置かれているからではないでしょうか。

性と生について深く考え、ゲイである人たちが本当に望んでいることは何かをよく考える必要があるのではないでしょうか。彼らの人権とそして、彼らが恋愛することの自由をあたえる、ということではないでしょうか。

逆に言うと、ゲイの人たちの人権が守られない限り、中国、日本、韓国でHIV新規感染を減らすことは難しいといえます。

 


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